積算・数量の拾い出し·公開 2026年10月16日·FUKULO(合同会社商陣)

内装の積算のやり方|床・壁・天井・幅木・建具の拾い方と、見積書までの手順

内装の積算は、図面から床・壁・天井・幅木・建具の数量を部屋ごとに拾い、単価をかけて工事費を積み上げる作業です。拾い方には公共工事の基準があり、民間の工事でも「何を差し引き、どう丸めるか」を先に決めておくと、誰が拾っても数字がそろいます。この記事では、会議室1室を例に計算の手順を示し、見積書にするまでの流れをまとめます。

目次
  1. 内装の積算のやり方の全体像|図面から見積書までの5段階
  2. 内装の積算の基準|設計数量と端数の決まり
  3. 内装の積算で床と天井の面積を拾う
  4. 内装の積算で壁・幅木・建具を拾う
  5. 内装の積算を部屋ごとの表にまとめる|エクセルでの計算例
  6. 内装の積算から見積書へ|単価と諸経費をのせる
  7. 内装の積算を図面から速くするには
  8. 内装の積算のやり方のよくある質問
  9. 内装の積算のやり方のまとめ

内装の積算のやり方の全体像|図面から見積書までの5段階

内装の積算は、大きく分けると「図面を読む」「数量を拾う」「部屋ごとにまとめる」「単価をかける」「見積書にする」の5段階で進みます。積算(せきさん)とは、工事に必要な材料と手間の量を図面から数え、それぞれに単価をかけて工事費を積み上げることです。内装工事では、床・壁・天井の仕上げと、その下地、建具まわりが主な対象になります。

一般には、元請から図面(平面図・展開図・天井伏図・仕上表・建具表)を受け取り、紙やPDFの図面に色を塗りながら寸法を読み、電卓で計算してExcelの表に写す、という進め方をしている会社が多くあります。やり方そのものは会社ごとに違っても、通る段階はほぼ同じです。

  1. 図面を読む仕上表・建具表で、部屋ごとの床・壁・天井の材料を確かめる
  2. 数量を拾う平面図と展開図から面積・長さ・個数を測る
  3. 部屋ごとにまとめる部屋×部位(床・壁・天井・幅木・建具)の数量表にする
  4. 単価をかける材料費と施工の手間をのせて、直接工事費を出す
  5. 見積書にする諸経費と条件を足して、元請や施主に出す
図:内装の積算のやり方(図面を受け取ってから見積書を出すまで)

この記事で例にするのは、株式会社サンプル内装(積算担当 山田 太郎)が、株式会社サンプル建設から依頼を受けた「〇〇ビル3階 事務所内装改修工事」の積算です。ポイントはここです。どの段階でも「何を、どの単位で、どう丸めて数えたか」を残しておくと、あとから見直す人も同じ数字にたどり着けます。

自社のいまのやり方が、この5段階のどこに時間がかかっているかを先に考えておくと、この記事のどこを重点的に読めばよいかが分かります。多くの会社では、2段階目の「数量を拾う」と、3段階目の「表に写す」に一番時間がかかっています。

内装の積算の基準|設計数量と端数の決まり

内装の積算には、国土交通省の「公共建築数量積算基準」という拾い方の決まりがあります。官庁の建物の工事(官庁営繕)で使うための基準ですが、数量の数え方の考え方は民間の工事でも参考にされることが多く、拾い方をそろえる土台になります。民間の工事では、元請や会社の決まりが優先されることもあるので、依頼を受けたときに確かめておくと安心です。

この基準では、数量は原則として「設計数量」で出します。設計数量とは、図面に書かれた寸法や個数から求めた長さ・面積・体積のことで、材料の切り無駄(ロス)は単価の中で考える、とされています。これに対して、定尺(決まった大きさ)の材料を切るときの無駄や施工上の損耗を含めた数量は「所要数量」と呼び、使うときは所要数量であることを明示します。

項目公共建築数量積算基準での決まり(原則)
数量の種類設計数量(図面の寸法・個数から求める)。ロスは単価で考える
寸法の単位m(長さ・面積・体積は m、㎡、m3)
端数の処理四捨五入
計算の桁長さ・面積は小数点以下第2位まで
内訳書の数量小数点以下第2位を四捨五入して第1位まで。100以上は整数

民間の内装工事では、ロスを数量に入れて拾う会社もあれば、単価に入れる会社もあります。どちらでも見積は作れますが、同じ案件の中で混ぜると数量が二重に増えたり、逆に足りなくなったりします。会社や元請の決まりによって違うので、自社の数量表の上のほうに「設計数量で拾う」「ロスは単価に含む」のように1行書いておくと、担当が替わっても迷いません。

内装の積算で床と天井の面積を拾う

内装の積算で最初に拾うのは、たいてい床です。床の面積は、平面図で部屋の寸法を読み、縦×横で求めます。このとき使うのは、仕上げの表面ではなく、躯体や下地の面までの寸法というのが基準の考え方です。四角でない部屋は、長方形に分けて足すか、大きな長方形から欠けた部分を引きます。

公共建築数量積算基準では、仕上げの数量は「躯体または準躯体の表面の設計寸法による面積」から開口部の面積を差し引く、とされています。準躯体とは、部屋を区切る軽量鉄骨などの間仕切下地のことで、仕上げを拾うときは躯体の一部として扱います。ただし、仕上げの厚み(仕上代)が0.05mを超えるときは、仕上げの表面の寸法で測ります。

床で迷いやすいのは、柱の出っ張りと床の段差です。基準では、床に出ている柱の小口(切り口の面)が1か所あたり0.5㎡以下なら、その部分の仕上げは差し引かないとされています。床の段違いの側面は床に含めますが、立ち上がりの高さが0.3mを超える場合は壁として扱います。

天井も、拾い方は床とほぼ同じです。天井伏図で天井の範囲を確かめ、面積を出します。天井点検口のような小さな開口や、照明器具・換気口のような器具による欠けは、1か所あたり0.5㎡以下なら差し引かないのが基準の決まりです。点検口そのものは、別に箇所数で数えます。下がり天井の側面や回り縁(天井と壁の境目の見切り材)は天井に含めて、それぞれ区分して拾います。

天井の下地(軽量鉄骨の天井下地)を拾うときは、基準では躯体からの「ふところ」寸法(天井裏の高さ)と仕様で区分し、数量は仕上げの面積によるとされています。天井の高さが部屋ごとに違う物件では、ふところの区分を部屋ごとにメモしておくと、あとで単価を選ぶときに迷いません。

内装の積算で壁・幅木・建具を拾う

内装の積算で一番手間がかかるのが壁です。壁の面積は「部屋の周りの長さ(周長)×壁の高さ」から、扉や窓などの開口部を差し引いて求めます。公共建築数量積算基準では、壁の高さは設計図書の天井高さを使う、とされています。展開図や仕上表に書かれた天井高さを、そのまま使えばよいということです。

開口部の差し引きには決まりがあります。基準では、建具の内法(枠の内側)の寸法で開口部の面積を出し、1か所あたり0.5㎡以下の開口部は差し引かないとされています。コンセントやスイッチ、配管による欠けも、1か所あたり0.5㎡以下なら差し引きません。高さや幅が0.05m以下の幅木や回り縁による欠けも、壁の仕上げからは差し引かないのが原則です。

幅木(巾木とも書きます)は、面積ではなく長さで拾います。周長から扉の幅を引いた長さが幅木の数量です。基準では、幅木の開口部による欠けが1か所あたり0.5m以下なら差し引かないとされています。扉の幅は多くが0.5mを超えるので、扉の分は差し引くことになります。

建具は、建具表の符号(WD-1、SD-2のような記号)とサイズごとに箇所数で数えます。扉の枠や額縁は開口部に含めて区分します。壁紙や塗装は「表面処理」と呼ばれ、基準では、その下の主仕上げ(せっこうボードなど)の数量で数えるとされています。つまり、ボードを拾えば壁紙の面積もほぼ決まります。

間仕切下地(軽量鉄骨の壁下地)は、仕上げとは切り離して拾います。基準では、スタッド(縦の骨)の幅と間隔ごとに区分し、開口部の差し引きは仕上げと同じ0.5㎡の決まりを使います。間仕切下地は天井の上まで立ち上げる設計が多く、その場合は壁の仕上げと高さが違うので、断面図や仕様書で下地の高さを確かめてから拾います。

内装の積算を部屋ごとの表にまとめる|エクセルでの計算例

内装の積算の数量は、部屋ごとに「床・壁・天井・幅木・建具」を並べた表にまとめると、抜けや重複に気づきやすくなります。ここでは〇〇ビル3階の会議室Aを例に、実際に計算してみます。寸法はすべて説明のための架空の値です。

会議室Aの条件は次のとおりです。部屋の寸法(下地の面まで)は6.00m×4.50m、天井高さは2.70m、出入口の扉は1か所(内法0.90m×2.00m)、窓は1か所(内法1.80m×1.20m)、天井点検口は1か所(0.45m×0.45m)、壁にコンセントが4か所あります。

部位計算式数量単位
床(タイルカーペット)6.00×4.5027.00㎡
天井(化粧せっこうボード)6.00×4.50(点検口0.20㎡は0.5㎡以下なので引かない)27.00㎡
周長(6.00+4.50)×221.00m
壁(せっこうボード)21.00×2.70-扉1.80-窓2.1652.74㎡
壁(壁紙)壁のボードの数量による52.74㎡
幅木(ソフト幅木)21.00-扉の幅0.9020.10m
建具(WD-1)建具表による1か所

壁の計算では、扉が0.90×2.00=1.80㎡、窓が1.80×1.20=2.16㎡で、どちらも0.5㎡を超えるので差し引きます。コンセントは1か所が0.5㎡よりずっと小さいので差し引きません。天井点検口も0.45×0.45=0.2025㎡で、小数点以下第2位まで丸めると0.20㎡になり、0.5㎡以下なので差し引きません。

Excelでこの表を作るときは、数量の欄に計算の結果だけを入れるのではなく、計算式の列を残しておくのがおすすめです。「21.00×2.70-1.80-2.16」と式が見えていれば、図面の寸法が変わったときにどこを直せばよいかがすぐ分かり、別の人が確かめるときも同じ手順をたどれます。同じ形の部屋が複数あるときは、1室分を拾って室数をかける方法もありますが、その場合は室数を図面でもう一度数え直します。

内装の積算から見積書へ|単価と諸経費をのせる

内装の積算で数量がそろったら、品目ごとに単価をかけて金額にします。国土交通省の「公共建築工事積算基準」では、直接工事費の出し方として、材料の価格に数量をかける方法と、材料費・労務費・機械器具費などで作った「単位施工あたりの単価」に数量をかける方法、どちらも難しい場合に「一式」で出す方法が示されています。内装工事では、1㎡あたりの材工共(材料と施工の手間をまとめた)単価を使う会社が多くあります。

品目数量単位単価(例)金額(例)
壁 せっこうボード張り52.7㎡A円52.7×A円
壁 壁紙張り52.7㎡B円52.7×B円
床 タイルカーペット敷き27.0㎡C円27.0×C円
ソフト幅木20.1mD円20.1×D円

単価は地域・時期・材料の銘柄・会社によって大きく違うので、ここでは記号で示しています。数量の欄は、基準にならって内訳書の段階では小数点以下第1位に丸めています。

直接工事費の合計に、現場の管理にかかる費用や会社の運営にかかる費用(諸経費)をのせ、工期・支払条件・含まないもの(夜間作業や既存の撤去など)を書き添えると見積書になります。諸経費の呼び方やのせ方は、元請の書式や会社の決まりによって違います。積算と見積の線引きは、工事費の構成の図を使って、別の記事(積算と見積の違い)で説明する予定です。

改修工事では、新しく張る数量のほかに、既存の床や壁の撤去を拾うことがよくあります。公共建築数量積算基準の改修の章では、内装の撤去は部位と種別ごとに区分し、図面の寸法による面積・長さ・箇所数で数えるとされています。撤去を見積に含めるかどうかは元請との取り決めで変わるので、含まない場合は見積書の条件欄に書いておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

内装の積算を図面から速くするには

内装の積算のやり方を手順どおりに進めると、時間の多くは「図面の寸法を読む」「電卓で計算する」「表に写す」の3つにかかります。紙の図面に色を塗って拾う方法は、どこを拾ったかが一目で分かり、慣れた人なら速く確実です。一方で、図面が改訂されたときに塗り直しが必要になる、計算の結果を写すときに桁や行を間違える、といった手戻りが起きやすい点では、図面のPDFの上で直接測る方法のほうが扱いやすくなります。

積算フクロウは、図面の拾いから見積書の提出までを1つの案件でつなげるクラウドで、順次公開中です。いまは図面積算と品目マスタまで使えます。図面のPDFで縮尺を合わせて面積・長さ・個数を拾うと、その結果が部屋ごとの積算の表に並びます。下は図面積算の画面(サンプルの図面)です。

図面積算の試作の画面。左に道具、中央に平面図と色分けした拾い、右に部屋ごとの積算の一覧
図面積算の画面(サンプルの図面):図面のPDFで縮尺を合わせ、面積・長さ・個数を拾うと、右の「積算」に部屋ごとに並ぶ

図面積算では、拾った行を開いて計算式で数量を直せ、品目マスタの単価と歩掛りから金額と人工まで出ます。数量調書はCSVと印刷(PDF)で書き出せます。見積書(書式5種・材工別)、承認とハンコ、URLでの送付と開封の記録は準備中で、順に公開していきます。図面の拾い出しそのもののコツは、図面の拾い出しのコツの記事で手順ごとにまとめています。

内装の積算のやり方のよくある質問

内装の積算で、扉や窓の面積は必ず差し引くのですか?

公共建築数量積算基準では、建具の内法の寸法で開口部の面積を出し、1か所あたり0.5㎡を超えるものを差し引くとされています。0.5㎡以下の開口部やコンセントなどの器具は差し引きません。民間の工事では、元請や会社の決まりが違うことがあるので、依頼を受けたときに確かめておくと安心です。

壁の高さは天井高さと階高のどちらを使いますか?

公共建築数量積算基準では、壁の仕上げの高さは設計図書の天井高さを使うとされています。ただし、間仕切下地のように天井の上まで立ち上げるものは、断面図や仕様書で高さを確かめて別に拾います。

材料のロス(切り無駄)は数量に入れますか?

公共建築数量積算基準では、数量は原則として設計数量とし、ロスは単価の中で考えるとされています。ロスを含めた数量(所要数量)を使う場合は、そのことを明示します。民間では数量に入れる会社もあるので、同じ案件の中でどちらかにそろえることが大切です。

内装の積算はエクセルとソフトのどちらがよいですか?

案件の数が少なく、決まった様式で回せているならエクセルでも十分です。案件が増えて図面の改訂が多い場合や、複数の人で拾いを分担する場合は、図面の上で測って数量表に自動で並ぶソフトのほうが、写し間違いや手戻りを減らしやすくなります。

内装の積算のやり方のまとめ

内装の積算は、図面を読み、床・壁・天井・幅木・建具の数量を部屋ごとに拾い、単価と諸経費をのせて見積書にする作業です。拾い方の決まりをそろえておくと、誰が拾っても同じ数字になり、見直しも速くなります。

  • 全体の流れは「図面を読む→数量を拾う→部屋ごとにまとめる→単価をかける→見積書にする」の5段階
  • 数量は原則として設計数量。端数は四捨五入で、計算は小数点以下第2位まで
  • 開口部は建具の内法で出し、1か所あたり0.5㎡以下は差し引かない(公共建築数量積算基準)
  • 壁の高さは天井高さ、幅木は長さ、建具は符号とサイズごとの箇所数で拾う
  • 計算式を表に残し、同じ形の部屋は室数を数え直す

民間の工事では、元請や会社ごとの決まりが基準より優先されることがあります。最初の案件で決まりを1枚にまとめておくと、次からの内装の積算がずっと楽になります。料金や公開の予定は料金のページと機能のページにまとめています。

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